近年、現場発泡ウレタンの断熱施工が増えています。背景には住宅の高気密化があります。
現場発泡ウレタンというのは外壁や屋根の面材に吹き付けて、それが発砲し断熱材になります。
液体が膨らんで固体になるので隙間なく施工できるといった特性があります。
現場発泡ウレタンは気密工事を特にしなくても材質の特性上、それなりの気密が得られます。
分かりやすく言うと「手っ取り早く高気密高断熱住宅ができる」のが近年増加している要因です。
しかし「手っ取り早く」が後々に悲劇を生みます。
解体業者に聞いた話ですが、現在の住宅解体費の相場は4万円/坪。
平均的な40坪の家で40坪×4万円=160万円の解体費用です。
現場発泡ウレタンの家だと解体費用が10万円/坪程度になるとのことです。
40坪×10万円=400万円です。
この差額は面材にくっついている発泡ウレタンを剥がす作業や処理費に掛かる費用とのことです。
住宅の解体費用は通常、誰が負担するでしょうか?
一般的には子供や孫にあたる方々が負担するはずです。
安易に目先のメリットに飛びつき後世に経済的負担を与えるような素材は考え物です。
話がそれるため詳しくは書きませんが2005年にアスベスト問題がありました。
現在でもアスベストの処理費用は多額です。内容は違えど同じようなことが繰り返し起こっている現状があります。
また発砲ウレタンは企業努力によってノンフロン化などが進んでおります。
メーカーは「ノンフロン化で環境に優しい」と謳っていますが、「従来の製品よりも環境に優しい」であって、そもそも石油化学製品が環境に優しいわけがありません。
断熱材は完成時には隠蔽されてしまうため意識が薄くなりがちですが、家一軒に使う使用量(立米数)だと材木よりもはるかに多くなります。
後世の経済的負担や地球温暖化対策も考慮すると断熱材こそ自然素材系=セルロースファイバーは最適といえるでしょう。